前号:失敗につながる危険な採用活動

大切にしたい価値観を共有できていますか?

島田
島田
院長が目指す未来の組織は、どんな毎日を送っている組織ですか?
そして、そこにはどんな価値観を持ったスタッフさんがいますか?

これから5年10年と、先生が年齢を重ねていった時、思い浮かぶ組織の姿はどんなものでしょうか?ワクワクするような組織とはどんな姿でしょうか?

スピード感あふれる組織?笑顔がたくさんある組織?どんな価値観を大事にしている組織でしょうか?この「院長が目指す未来の組織像」を採用段階で伝えることが、まずなによりも大切です。

院長が大切にしたい価値観を共有でき、理解し、共に取り組めるスタッフさんこそが、採用担当のタマゴの可能性があります。院長が大切にしている価値観に共感し、一緒に考えていけるスタッフさんが、この先の経営の命運を分けるといっても過言ではありません。まずは、価値観を院内メンバーへ伝えること、そして同志を育成することが必要です。

例えば、院長が「常に自分たちで自主的に考えて、変化をして、それを楽しいと思える仲間であってほしい」と考えるのに対して、ある人は「決められたルールの中で、指示を待ち、的確にこなすことが好き」という価値観であるならば、変化が多い組織体制についていけない可能性があります。このようなミスマッチを防ぐためにも、大切にしたい価値観を明確化して、院内外に伝えていくことが重要だと考えています。

採用ターゲットは明確ですか?

誰でもいいから人がほしい!というのは、実は誰も来ない状況を自ら作っていると言えます。

人は「誰でもOK!」より「あなただけ!」に目がいくものです。多くの先生が「吸収力のある若い人がいい」とおっしゃいますが、若手が本当に必要なのか?という見直しも必要です。

もしかしたら、直近では、子育て一段落世代が活躍できるということもあるかもしれません。採用ターゲットによって、メッセージの内容は大きく異なります。さらに、ターゲットが決まれば発信する広告媒体も変わってきます。

ターゲットを絞ることは、ミスマッチの応募を増やすことを防ぐだけでなく、本当にほしい人への効果的なPRにも繋がります。採用の最終的な目的は、「求める人物を採用できること」です。

応募が100件あったとしても、本当にほしいと思える人が一人も採用できないのであれば、採用の目的を果たせたとはいえません。応募が1件だったとしても、本当にほしいと思える人が1人採用できれば、採用活動は成功です。ただ無作為に応募数を増やすことは、選考時間もかかりますし、本当に見てほしい人にメッセージが届かず、機会損失にも繋がります。

現場が求めているターゲットを

これまでのことから、求める人物を明確にすることが重要です。どんな人に応募してほしいのか?活躍する人はどんな人なのか?それを明確にするためには、院長だけでなく、スタッフさん側の目線も大変参考になります。

本当に働きやすく働き続けられる職場とは何か?入社後の不安は何か?というのは、働いている側しかわからないことだからです。

採用戦略において、現場の生の声は欠かせません。採用サポートの際にスタッフアンケートを取ると、院長が思っていることとスタッフさんが感じていることの温度差を感じることがあります。院長は雰囲気がいい職場だと思っていても、実はスタッフ同士ではそうではないということもあります。

その温度差を入職者は敏感に察知します。ですので、その差を埋めるためにも、院長だけでなく、スタッフさんを巻き込んだ採用戦略が必要なのです。誰を採用担当にするかは院長の独断ではなく、大切にしている価値観をベースに考え、そこに共感してくれる人を見つけ、任命し、育てていく必要があります。そして面接時のトレーニングも必要です。採用戦略に準備のしすぎはありません。その準備が差別化を作ります。

女性組織のライフイベントの変化は避けられない

女性が多い組織である以上、スタッフのライフイベントは日々変化します。子育てが一段落したら、扶養から外れて正社員で働きたい!という人もいれば、育児や介護でパートになりたいという人もいます。

その中で組織編成を考え、余剰人員を抱える余裕もない中で、人員を整えていくのはとても大変です。

女性組織において最も重要なのが、定着率を上げていくことです。これができなければ、後々の経営目標達成は難しいと思います。

女性スタッフが多い組織では、ライフイベントの変化の課題は切っても切り離せません。ライフイベントが変化しないことを祈るよりも、変化しても、人が定着する体制をつくっていく努力が必要です。

女性スタッフさんの微妙な心境の変化や不安を感じ取れるのは現場のスタッフさんです。その現場のスタッフの声を活かし、どう採用に活かしていくのか?どう体制づくりに活かしていくのか?が、これからのクリニックにおいて“経営の肝“になると思います。

誰でも良い!という時代から、この人が良い!という時代へ。

どこでも良い!という時代から、ここで働きたい!という時代へ。

どんな人と一緒に仕事をしていくのか?どんな人を求めているのか?

これから真剣に考えていきませんか?

次回は、定着率を上げる体制づくりのための取り組みをご紹介します。

NEXT>>コミュニケーションの土台作り

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