前号:医療人が陥る危険なデットゾーン

重要だけど緊急ではない業務の代表例である「マニュアル作成」。通常業務が優先され、どんどん後回しに。

結果的には「ま〜無くてもなんとかなるか〜」「今までもマニュアルなかったし」というソフトなニュアンスで手付かずに終わる業務の代表選手です。

しかし、人口減少・人材確保難が予想される中で、今後考えるべき課題の1つではないでしょうか。

マニュアル作成は簡単にできる時代

マニュアル作成が大嫌いな皆さん、安心してください。まず作成に関するネガティブな要素はどんどん改善されています。

多くの方が苦手とするパソコン入力作業。パソコンでポチポチッとタイピングをしなくても音声入力の機能があります(使ってみるとかなり便利です!)

動画編集も簡単にできるものが多数あります。自動的に動画をコマ分割してくれるアプリもどんどん登場しています。

作成ツールが便利化されているので、ますます医療機関のマニュアルのIT化は進むと予想されます。だから先生のところも早めにマニュアル作りましょう!ということを伝えたいのではなく、むしろ立ち止まって考えてほしい事があります。

自宅学習時間は残業時間になる!?

前フリがだいぶ長くなってしまいましたが・・・本題です。

動画マニュアルを作成している医療機関さんも増えてきているので、他人事とは言い切れない問題です。

「え・・・こんなことを言う人がいるの?!」と思うかもしれませんが・・・います。

新人教育の時間や研修費削減のために作成したマニュアル動画やウェブ研修。「事前に見ておいてください」と言った場合、その時間は勤務時間となるのか。

実はこの内容は、某大手通信会社の社員さんが会社相手に訴えを起こしたものなのです(大阪地裁にて)

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○雇用主側の主張:

ー勤務先ではなく自宅でもできるんだから労働時間外だ。

○社員側の主張:

ー自分のプライベートの時間を削ってまで見るんだから残業時間だ。

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結果からお伝えすると・・・会社側の敗訴でした。

つまり、自宅学習でウェブ研修を受けている時間は残業時間になり、残業代の支払いが必要になったのです。

社員の成長や時間やコストのカット、生産性向上を願って用意したマニュアル動画やウェブ研修でまさかこんなトラブルになるとは・・。マニュアルは作成する前にしっかりと状況をチェックしてから作成する必要があると感じています。

動画やWEB研修はインターネットが使える環境であれば、どこでも利用可能でとても便利なものです。しかし、まだまだ課題は拭いきれていません。動画だけのマニュアル作成・運用はうまくいかないことが多いのです。

WEB研修の落とし穴

うまくいかない理由としては、次のような点が挙げられます。

1.動画をみるスタッフ側の環境

実際にやりとりをしているとスタッフさんの中には、「スマホの通信制限があるので見れませんでした」「ガラケーなので見れません」「自宅では家族がいるので動画を見る時間を確保するのは難しいです」という方もいます。

全員が平等に学べる環境、どの時間に閲覧するのか等、一定のルールを定める必要が出てきます。

2.動画の撮影・編集の負担

動画の前のシナリオ、準備、不要な箇所のカット、アップロード先の容量制限などの課題があります。

そもそも勤務時間中はスマホを持たないところがほとんどかと思いますので、業務時間外で作る必要性が出てきます。

3.見たいところが見れない問題

「ここだけみたいのに!」という時、余分なところも早送りや巻き戻しで調整しないといけないため、かえって時間がかかるということがあります。

そもそも動画と同じ動きをすることが難しいので、①動画を止める→②動作を確認する→③自分でやってみる→④巻き戻してもう一度チェックするという工程がでてきます。

マニュアルは目的ではなく「手段」

そのため、動画で作るべきマニュアルなのか、むしろ紙の方が良いのかを分類する必要があります。

動画でマニュアルを作るのがすべて良くないというわけではなく、本当にその方法で良いのか?を考えてから取り組まないとマニュアルを作ることが目的となってしまいます。

あくまでもマニュアルは「手段」であって「目的」でありません。なぜマニュアルを作成する必要があるのか、その理由が明確であればあるほど作成や運用などのブレがなくなります。

マニュアルを作ることによって、どうなっていたいのか、具体的なイメージがある場合は良いのですが、漠然と生産性が向上するだろう、今よりも何かしら改善するだろうという抽象的なイメージのまま、取り組みを開始するのはとても危険かもしれません。

作成する前に今一度、具体的なイメージが湧くまで考えてみることをオススメします。

イメージを具現化する5つの質問

Q:マニュアル化をする目的は?

Q:具体的にどんなことが現場で起きている?

Q:それが解決したときはどんな気持ち?

Q:理想の状態が100点だとすると今は何点?

Q:それを1点でもプラスにするとしたら、明日から自分は何ができる?

 

私はマニュアル化はあくまでも医院の発展や院長の夢の実現に近づくための手段の1つにすぎないと考えています。

業務のなかで削れるところは削り、残すところは残す。

今まで培ってきたことを大切にしながらも、現在の業務を見える化し、整理整頓していくことで今までなんとなくあった業務がシンプルになっていくということもあります。

効率化してよくなることは前向きに。

効率化してはいけない人との関わりやコミュニケーションは大切に残しながら、時代とともに良いものを取り入れて行きたいと思います。

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